コンプライアンス1を重視する現場で、
アジャイルなプロジェクト管理ツールが現場で必要になったときに、
外部WebサービスなTrello
やPivotal Tracker
を導入しづらいことがある。
そこで、OSSのかんばん式管理ツールをいくつか探して、
色々試して感じたことをまとめておきます。
今回試した ‘かんばん式’ プロジェクト管理ツール
以下に挙げる以外にも、OSSのかんばん式管理ツールは数多く存在するが、 機能面・とっつきやすさ・導入の容易さなどに基いて、3つだけピックアップさせていただいた。
TAIGA
https://taiga.io/Wekan (旧LibreBoard)
http://newui.libreboard.comRestyaboard
http://restya.com/board/
個別のサーバーに実行環境を構築したい場合
各々デモ用のURLが用意されているが、OSSなので個別のサーバー環境やDocker
で試したい場合は、
当ブログに構築手順の記事があるので、参照されたい。
TAIGA - 本格的なアジャイル開発管理
本格的なアジャイル開発を支援するプロジェクト管理ツール。 他のかんばん管理ツールに比べて、デザイン洗礼されていて、使っていて気持ちいい。
ここが良かった
アジャイル開発管理に特化したテンプレート
全体を見渡せるかんばんボードだけではなく、
期間区切りのスプリントを作成して、バックログからストーリーカードを割り振り、
各タスクの進捗状況を確認できるタスクボード
機能。
プロジェクト全体の遅延動向をより正確に把握するために、
ストーリーカード毎に設定するポイント(難度重み付け)2と、
ストーリーカードの進捗に基いて描写されるバーンダウンチャート
。
感覚的には以前使っていたRedmine
のアジャイル拡張のAlminium
に似ている。
(アジャイルの管理ツールって概ねこんな感じなのかな)
ユーザーごとに権限グループ設定をすることができる
スプリントを追加できるのはオーナーのみとか、 エンジニア/デザイナーはタスクのみを登録できる。とか、 グループによって、事細かに権限を設定することができる。
デフォルトの権限グループとしては、UX
,DESIGN
,FRONT
,BACK
,PRODUCT OWNER
などがあるが、こちらも設定で変更できるっぽい。
微妙なところ
軽めに使うには複雑すぎるか
Redmine
拡張のAlminium
を使った時も思ったことだが、
メンバーがアジャイル開発手法に慣れていない場合、
バックログ > スプリント > タスクボードの階層構造に少し戸惑うかもしれない。
一応、設定からアジャイル開発系のモジュールを無効にできたりするが、
かんばんボードの列名を別の設定画面で行う必要があったりと、少し面倒くさい。
シンプルなTODO表として使うなら、Trello
,Wekan
とかの方がとっつきやすいかもしれない。
Wekan - お手軽かんばん式プロジェクト管理
ちょっと前は、Libreboard
と呼ばれていて、日本語の紹介サイトも豊富に存在した。
その頃はボード画面から設定画面から、何から何までTrelloにそっくりだったが、
Wekan
に名を変えてから、少しUIにオリジナリティが増したように感じる。
ここが良かった
シンプル・イズ・ベスト
Trello
の基本機能から、更に必要最低限のものに絞ってるので、非常にとっつきやすい。
システム開発に限らず、シンプルなTODO管理にも使えそう。
ひょっとすると、ITアレルギー持ちの老若男女にも使っていただけるかもしれない。
こういうツールの真髄は、今どんな課題があるか。どういう状況か。誰が着手してるか。を素早く把握することにあるので、 コミュニケーションツールとして割り切るならば、十分だとは思う。
日本語UIに対応
上のログイン画面のスクリーンショットのとおり、デフォルトで日本語に対応している。
ログイン後の画面も右上メニューのChange Languege
から日本語にできる。
英語アレルギー持ちの老若男女にも使っていただけるだろう。
微妙なところ
アジャイル開発管理に使うにはシンプルすぎるか
本格的にアジャイル開発に使うには、複数ボードにまたいだりと、
運用テクニックが必要になりそう。
あと、Trello
やRestyaboard
にあるようなチェックリスト機能がないので、
各ストーリーカードの進行状況(タスク状況)をボード上から確認するのは難しい。
Restyaboard - 多機能かんばん式プロジェクト管理
基本的にはTrello
クローンなのだが、
シンプル化のWekan
と違い、多機能化を目指している。
ここが良かった
他ツールにない前衛的な機能やTrello有料機能が使えたりする
例えば、ボードのオーナー以外がストーリーカードを追加することができないが、 ボード一覧による進捗状況確認、カレンダー表示、デスクトップ通知3、ファビコンに新着通知数表示など、他ツールにない前衛的な機能/UIが豊富。
チェックリスト、Due Date、ボードの背景に写真が使える、などを見ると、
機能面ではWekan
より、こちらのほうがTrello
を意識しているかも。
また、Trello
からデータをインポートする機能が付いているので、
もし無償版では満足できなくなったら、試してみるのもいいかもしれない。
微妙なところ
ユーザーインタフェースに少し難あり
定期的に再読み込みのロードバーが表示されたり、 デスクトップ通知が絶え間なく表示されたり、 ストーリーカードの詳細ポップアップがグィングイン動いたり、 若干UI効果がうるさいかも。
GitHubを見るに、機能面含めて現在開発中のアルファ版という位置づけと思われるので、 今後のバージョンアップに期待したいところ。
あとがき
1年ほど前にOSSのかんばんツールを探してた時は、
Redmine
のAlminium
ぐらいしか選択肢がなかった気がしたが、
ものすごいスピードで新サービスが生まれるWeb系の恐ろしさを感じる。
OSS作者様に感謝すると共に、自分もなにか残してえなあ。と色々弄ってて思った。